中古マンションを購入する時、皆さんはどんなところをチェックしますか?
周辺の環境でしょうか。
駅から何分かかるか・・・といった交通の便ですか。
それとも、マンションの管理体制や組合がしっかりしていることでしょうか?
共用部についても様々なチェックポイントがあると思いますが、中古マンションの専有部を内覧する時にチェックしておいた方がいい項目をご紹介いたします。
これを知って中古マンションを購入すれば、間取りや設備機器をリフォームする際に、思い通りに計画・実現しやすくなります。
もちろん、ご予算ありき・・・ですが、これから挙げる「専有部のここ」に気を付ければ、中古マンションを購入してリフォームする時、ぐっとリフォームしやすくなります。
それは、リフォームプランナーである私がクライアントさんのご自宅で現場調査する際に、チェックするポイントでもあります。
そのチェックポイントを踏まえて、要望に合ったプランニングをするので、既存の在り方によりリフォームの可能性が変わることを実感しています。
ですので、中古マンションの内覧時には、以下のポイントを押さえておきましょう。
リフォームに適した中古マンションの選び方【ポイントを解説】
ここに気を付けて:2重床か直床か
玄関を入って玄関の土間と廊下に段差はありますか。
上框(かまち)が、約10から20cm程度上がっている場合は、2重床になっていると考えてよいでしょう。
これに対して直床といって、躯体の床の上に直接仕上げ材を張っているケースがあります。
直床の場合、玄関とそれに続く廊下の仕上げ床レベルが、大体同じ高さです。
玄関床と廊下の躯体(例えば、コンクリートの床)で段差を付ければ、玄関と廊下の仕上げ材の厚さが違っても床レベルを同じ高さにできます。
要するに、仕上げ材ではなく、躯体で段差をつけて、床レベルが同じになるように施工しているのです。
では、2重床の場合をみていきましょう。
2重床のメリット
2重床だった場合、水廻りが移設しやすくなります。
リフォームの要望で多い、クローズドキッチンをオープンキッチンに変更する場合に有効です。
2重床ならば、キッチンからPS(パイプスペース)までの排水経路を、仕上げ材と躯体の間の空間でとることができます。
床下で排水の水勾配を確保しやすので、キッチンの移設が比較的自由にできます。
また、キッチン以外の水廻りの移設も可能です。
排水管の水勾配は、それそれの排水管の径によるので、計算が必要です。
躯体から仕上げの床レベルまでの高さの間で、排水管の勾配がとれる位置までの移設が可能ということです。(仕上げ材や下地の厚さ分は引いて有効高さを計算します。)
直床でも水廻りの移設をするには・・・
専有部を全面改装する場合は、床の高さを再設定できるのでより水廻りの位置を動かすこともできますが、その場合は以下について確認することが大事です。
☑天井高さがいくつとれるか(階高も確認)
☑梁の位置や高さ、そして梁下がいくつとれるか
何故大事なのかというと・・・
時々、床の高さを上げたため、天井高さが2m40cmを切ってしまうケースがあります。
部屋の一部や梁下ならば低いところがあってもいいと思いますが、天井高さは高い方が空間が広く見えるので、できれば2m40cm以上は確保したいところです。
建築基準法第21条では、
「居室の天井高さは2.1m以上でなければならない」
と決められていますので、2.1m以上あれば法律的にはよいのですが、天井高さとの兼ね合いもみて、床の高さがいくつまで上げられるか、検討する必要があります。

直床でも排水管ルートを新設する方法
キッチンを移設する場合、排水管のルートを取るために、床を一部上げたり、壁を新設してその中を配管スペースとして計画するという手法もあります。
直床でもキッチンや水廻りの移設はコストは掛かりますが、不可能ではないケースもありますので、計画次第でリフォームの可能性が広がるといえます。
ただし、床に段差ができるのでバリアフリーとは言えませんし、壁の新設は有効面積を小さくするといったデメリットがあります。
直床での注意点(全面改装した時の私の失敗談)
追記として、直床で全面改装する際の注意点です。
電話のモジュラージャックが、間仕切り壁に埋め込まれて直床から立ち上がっていることがあります。
その場合、モジュラージャックが設置されている壁を撤去してしまうと、解体後の躯体あらわしの際、床から立ち上がったジャックが、キノコのように立ち上がって残ってししまうのです!
電話のモジュラージャックは、撤去が出来ないため、そこに壁や造作家具を作って見えないように対処するようになってしまい、プランニングに制約がでてきます。
これは以前私が失敗した事例ですが、既存解体後に発覚すると、計画変更をしなければならないこともあります。
そのため計画時に、電話のモジュラージャックの位置をきちんと確認しておいた方がいいでしょう。
直床かどうかすぐ判断する方法

既存のお部屋の竣工図を見れば、床レベルなど情報が記載されていますが、竣工図をすぐ見ることができない場合、現地調査ですぐわかる方法があります。
フローリングが敷いてある場合は、歩いた時、ふわふわした感触ならば直床仕上げの可能性が高いです。
直床のフローリングについては、過去記事に綴っています。
こちらも合わせてご覧ください。
ここに気を付けて:直天井と天井高さ(階高)
天井についても直天井か確認しておきたいポイントです。
ダウンライトの新設や煙感知器の移設・新設、天井カセットエアコンの新設など、天井に新しく設置する場合は、直天井では設置ができないので、天井を新たに作る必要があります。
既設の引掛けシーリングを移設する場合も基本的には天井の造作が必要です。
ここに気を付けて:壁式鉄筋コンクリート構造かラーメン式鉄筋コンクリート造か
壁式鉄筋コンクリート構造のマンションの場合、外壁だけでなく、室内の壁もコンクリートの構造体になっているため、リフォームによる間取り変更が不可能な場合が多いです。
壁式鉄筋コンクリート構造は、壁・床・天井といった面で構成された躯体の構造です。
ラーメン式鉄筋コンクリート構造の柱と梁で構成された線でなる壁構造の躯体と比較すると、大概の壁が耐力壁になっているので撤去できません。そのため、間取りを変えるということが難しいのです。
最近では、在宅勤務も増えて、家で仕事をするようなケースも増えてきました。
ですが、家でオフィスのようなモチベーションを持って仕事ができるかというと、そうではないこともしばしばあるようです。
例えば、在宅でワークスペースが確保できていないのも一因しています。
そのため、間取り変更を含めたリフォームの要望が比較的多くなっています。
それには、既存躯体が間取り変更に対して自由度があるかが大切であり、またリフォーム成功のポイントとなってきます。
ですので、構造体がコンクリート造の場合は、リフォームの自由度が高い、ラーメン構式鉄筋コンクリート造のマンションをお勧めします。
ここに気を付けて:水廻りについては、特に浴室をみよう!
浴室や洗面所、トイレといった水廻りは、経年変化が現れやすい場所です。
水廻り3点セットという売り文句で、各リフォーム会社がパックで提供している商品でもあります。
浴室については、既存が在来工法(コンクリートの上に防水層を作り、タイルを施工した浴室で、築深のマンションによくあります。)かどうかがリフォームする際にポイントとなってきます。
在来工法の場合、壁がブロックならば解体することも可能ですが、コンクリートの壁の場合は、マンションのオーナーのお部屋でない限り、壁を撤去してサイズの大きいユニットバスを入れることは、ほぼ出来ないと言えます。
コンクリートで囲われた在来浴室のスペースの中に、施工可能なサイズのユニットバスを入れることで、ユニットバスへ交換する形になります。
そのため、既存の浴室の大きさより小さくなってしまうケースもあります。
補足ですが、コンクリート壁に追われた浴室の場合、オーダーのユニットバスで施工する方法もあります。
例えば、以下のメーカーはオーダーが可能です。
☑NIKKO
住設環境機器事業 | NIKKO (nikko-company.co.jp)
☑日ポリ加工
ユニットバスのオーダーメイド | ユニットバスの日ポリ化工株式会社 (nippori.co.jp)
既存のスペースに合わせたサイズオーダーができるので、スペースの無駄なく設置できます。
柱が浴室内に出っ張っているケースも、柱部分を覆う壁パネルで対応できるからです。
ただ、金額が比較的高いので、浴室に予算をかけたい方向け・・・と言えるでしょう。
また、規格サイズのメーカーでは、タカラスタンダードが2.5cmピッチでサイズオーダーができる商品がありますので、こちらがお勧めです。
この様にユニットバスメーカーが限られてしまうので、メーカー選択の自由度が低くなるデメリットがあります。
ここに気をつけて:住戸内のPSの位置に注意しましょう
マンションの住戸内のPS(パイプスペース)位置を図面で確認すると、部屋の間の間仕切り壁に付属してPSがあるケースがあります。
下記の図面の住戸のPSを例に挙げてみます。
赤い点線のまるで囲ったPSは、洋室(1)のエアコン配管用のPSなので、間取り変更の際、撤去することも可能です。
しかし、PSが上下の住戸につながる竪穴区画として住戸内にある場合は、共用部となるため、PSを残した形で間取りを考えなければなりません。

よって、住戸内にPSがある場合は、そのPSが共用部かどうか図面と共に壁がどんな構造でできているか、・・・確認が必要です。
共用部である場合は、PSを残してのリフォームになるので、当然、間取り変更に制約が出てくることを認識しておきましょう。
それではまとめです。
まとめ:リフォームに適した中古マンションの選び方【ポイントを解説】
☑直天井かどうか確認する
☑壁式鉄筋コンクリート造かラーメン式鉄筋コンクリート造か
☑浴室が在来工法かユニットバスか
☑住戸内のPS(パイプスペースの位置)
上記に挙げたポイントを中古マンションの選定に役立てていだだければ、リフォームを計画する時に、ご要望のかなう間取りができる確率が、ぐっと高くなりますよ!
それでは、また綴っていきます♪
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