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介護する一級建築士のhanatomoです。
このブログは、リフォームプランナーでもあるhanatomoが、介護のある暮らしを心地よくデザインする工夫を配信しています。
ボトル、栄養ライン、接続チューブ、シリンジ…胃ろうの備品は数が多くて散らかりがち。
毎日数回の注入だから、収納次第で介護の負担が変わります。
今回は、母の胃ろうを注入するための備品の収納術をご紹介します。
わが家の事情:注入の回数や設置場所について
2015年、母が施設から帰宅し在宅介護になりました。その時しばらく食事は口からとっていましたが、よく噛めない、飲み込めないことが多く、熱を出すことがしばしばありました。誤嚥性肺炎のリスクが高いこともあり、家族は胃ろうを造ることを決断しました。
胃ろうを造設したので、ボトルや栄養ライン、接続チューブにシリンジを使用して水分や栄養を注入することになりました。




現在は1日2回、水分と栄養の注入を行っています。
(1日3回の時期もありましたが、徐々に1日の摂取量が少なくなっています。)
母は、ボトルと栄養ラインはお白湯を注入するときに使い、F2という栄養を接続チューブから直接入れています。
このアイテムたちを使用後、洗浄して、保管するスペースが必要でした。
最初はキッチンのシンク前の壁面に取り付けられているバ―にかけてました。看護師さんはキッチンのシンクを使って備品を洗浄していました。
このレイアウトだと、キッチンで調理する時、食材がはねたり、洗いものをする時に水がはねて、折角洗浄して乾かした備品に汚れが付着する可能性があり、衛生的に問題がありました。
洗面室の三面鏡収納に備品をレイアウトする

衛生的に管理できるだけでなく、看護師さんやヘルパーさんが洗浄するので、その作業が家人の作業と重なりにくい、洗面室の一角に収納することにしました。
でも洗面室のどこに収納すればいいのでしょうか?
☑すべて備品が一目で把握できるような収納できる
☑洗浄した備品をすぐ乾燥しつつ、収納できる
☑収納した後、乱雑にならない
以上を考慮した結果、三面鏡の中央 の開き扉の収納内に胃ろうの注入に使用する備品をレイアウトすることとしました。
突っ張り棒とS字フックやワイヤークリップを使ったオリジナル収納

洗面所の三面鏡は、新築当初から可動棚が3枚設置されていましたが、上部に棚を上げて突っ張り棒を渡し、そこにS字フックやワイヤークリップを引っ掛けました。
S字フックには接続チューブ:4本のフックでアーチ掛けし、効率よく水切りができる。
ワイヤークリップにはシリンジ:分解してクリップで挟んで吊るせば、水切りができる。
無印良品の横ブレフックにはボトルと栄養ライン:横ブレしないので、安定して吊るすことができる。
それぞれのアイテムに引っ掛けやすい種類の金物を合わせて、使いやすくカスタマイズしました。

アーチ掛け

シリンジを吊して

横ブレしにくいフックで
しっかり固定

突っ張り棒の下には、口腔ケア用の歯ブラシ類や計量カップを収納しています。
突っ張り棒は自宅で使っていたものを実家で転用し、S字フックやワイヤークリップは少し買い足しました。
三面鏡の扉を開けば、注入備品が一目でわかり、その中から必要なものを選び取れるのでスムーズです。
今はこのレイアウトに落ち着いています。
次は、看護師さんとヘルパーさんのそれぞれの担当の流れです。
*看護師さん
1日に1回訪問しますが、まず洗面所で手を洗い、三面鏡の扉を開けて胃ろうの注入備品と口腔ケアグッズをトレイにまとめて、それをもってリビングに寝ている母のところに行くという動線です。
*ヘルパーさん
1日に朝夕2回の訪問。ヘルパーさんも同様に洗面所で手を洗い、口腔ケアを行うので、計量カップと舌ブラシ、くるりーなブラシを持って母のところに訪問します。
*朝は私が栄養を注入するので、寝室から洗面室に行き、注入備品をもってリビングに行きます。

使用後は、備品を洗面室に持っていき、洗浄してからフックに吊るすので、水切りも可能です。
三面鏡の扉と収納の箱には何ミリか、隙間があるので、全く密閉されている状態ではありませんし、
洗面室の入り口の開き扉は常に開放されているので、特に部屋に湿気がこもることなく、比較的清潔に備品を保っています。
雨の多い季節に接続チューブにカビが発生したことが何回かありました。
そのため、接続チューブは2週間から1か月に1回は交換してカビが発生しない前に交換しています。
わが家ではボトルや栄養ラインはお白湯を注入する時のみに使うので、雨の多い時期以外はカビの発生はほとんどなく、三面鏡収納内に入れておいても、衛生面で問題はありません。
また下段にある台所用漂白剤(キッチンブリーチ)は痰吸引器の洗浄に、隣のコップにある歯ブラシは口腔ケア用の舌ブラシの洗浄用に使っています。
6年目の現在
この収納スタイルで6年経ち、ストレスなく使用しています。
おかげ様で、看護師さんやヘルパーさんからも「使い勝手がよい」とご意見いただいております。
なにより、最初に備品の収納として検討した課題が解決し、毎日の介護が楽になりました。
☑すべて備品が一目で把握できる ➡扉1枚開けば必要な備品がそろっている
☑洗浄した備品をすぐ乾燥・収納できる ➡洗浄した上にすぐ吊るして乾燥できる
☑収納した後、乱雑にならない ➡ 扉を閉めれば備品は見えなくなる
建築士の視点:なぜ洗面室の三面鏡内だったのか
☑水場に近い:作業(洗浄→乾燥→収納)が一箇所で完結する
☑家事動線と交差しない:家人がキッチンで作業していても干渉しない
☑扉を閉めれば生活感が消える:使うときだけ必要な備品を取り出すことができる
マンションの洗面化粧台の三面鏡は、奥行が約15cmくらいで、可動棚が何枚かセットされています。一般的には歯ブラシ類や化粧品などこまごまとしたものを収納しますが、洗面化粧台の幅が1m以上なら、三面鏡のすべてを小物収納にする必要はなく、ちょっとした工夫で胃ろうの注入備品の収納に適応できます。
それは、作業動線を考慮して既存の収納をうまく活用し、介護時間の短縮にも役立つ工夫です。
短縮といっても、無駄な作業をなくして、母に話しかけてコミュニケーションの時間を多くとれるようにすることが設計の狙いです。
母はもう話すことはできませんが、介護する側の心の余裕が、介護される側にも伝わります。
より良い介護とは、「相手への思いやり」だと最近感じています。
そんな介護ができる、心地よい空間にする工夫は、収納アイテムの一つからスタートできるのです。
三面鏡も工夫次第で介護用の収納にリニューアル可能

まさか母が難病を発病して、自分が一人で介護するとは夢にも思いませんでした。
実際に毎日母を介護するその視点にたってみると、収納に限らずプランについても色々な発見があります。
例えば洗面室の建具は引戸にした方が、入浴の際に介護士さんたちが作業しやすいということや介護ベッド廻りにワゴンを使うと看護師さんが作業しやすいなど、経験してわかることがあります。
これまで建築士としてプランニングする時、収納スペースを上手にレイアウトすることは考えていますが、介護をメインにリフォームの提案することはほとんどなかったので、こうした発見を今後記事にして、既に在宅介護をしている方やこれから介護をする方の参考になれば…と思います。
使ったアイテムまとめ
最後に、収納内部に使ったアイテムをご紹介します。
ネットですぐ入手できますので、気軽に取り入れることができます。
用途に合わせて、ぴったりなアイテムを選んではいかがでしょうか。
アルミS字フック・小
Sフックの小さいタイプのものを4本使って、接続チューブをアーチ掛けにしています。
4本が安定して掛けられるようで、このスタイルに落ち着きました。
突っ張り棒にかけられるサイズなら、無印以外のメーカーでもOKです。
ステンレス引っ掛けるワイヤークリップ
シリンジはフックに掛けられない形なので、クリップで挟んで吊るしています。耐荷重は500g。シリンジを分解して吊るせるので、洗浄後の水切りも兼ねられるのがポイントです。
ステンレス横ブレしにくいフック・小
ボトルと栄養ラインはこちらに。直径7.5mm程度の丸型バーに掛けられるので、突っ張り棒との相性がぴったり。コンパクトなので三面鏡の限られた奥行きでも邪魔になりません。
つっぱり棒・細・小
三面鏡の収納内横に渡して、フック類を掛けるベースにしています。
私が使っているシルバーのものは残念ながら廃番になってしまったようで、現行品もネットでは、在庫なし になっていました。
人気の商品ですが、無印の商品以外でもスリムタイプの突っ張り棒はあるので、こちらに挙げておきますね。
介護ライフを少しでも楽になるように、ぜひ取り入れてみてくださいね。
また綴っていきます。

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