【介護】カーテン選び方|シェード故障から全面交換した実録

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このブログはリフォームプランナーでもあるhanatomoが、介護のある暮らしを心地よくデザインする工夫を配信しています。

介護をしていると毎日が目まぐるしく、家の軽微な不具合はついつい後回しになりがちです。
特にインテリアは「まだ使えるから….」と目をつぶってしまうことも。
わが家はその結果、プレーンシェードが故障してしまいました。

今回は、実家リビングのプレーンシェードが壊れたことをきっかけに、リビングダイニングのウィンドウトリートメントを全面交換した記録です。
故障から現調、生地選び、施工、そして交換後の変化まで、実録でお届けします。

※ウィンドウトリートメントとは:
窓廻りを美し装飾すること。
カーテンやブラインドなどインテリアアイテム全般の総称です。
今回の交換はプレーンシェードも含めた交換なので、こちらの呼び方も使用します。

わが家の前提:リビングダイニングは母の療養空間

私は一級建築士・インテリアコーディネーターとして働きながら、脊髄小脳変性症の母(要介護5)を実家マンションで在宅介護しています。

わが家のリビングダイニングは、寝たきりの母が「生活する空間」でもあります。
訪問看護もリハビリもこの部屋で行われるため、窓まわりのしつらえは単なる「インテリア」ではなく、
光と温度をコントロールする療養空間の一部となっています。

リビングダイニングには出窓を含めて3つの窓があります。
交換前のリビングダイニングの窓の様子です。

【Before:南面出窓】
【Before:南面窓】
【Before:東面窓】

事の発端:出窓のプレーンシェードが開かなくなった

ある日、朝起きて出窓のプレーンシェード(生地を上下に昇降させるタイプの窓装飾)を上げようとしたら、突然動かなくなりました。

シェードの昇降メカは消耗品で、長年使うとコードやチェーンの不具合が起こりやすいと言われています。わが家のものも設置から20年と、かなりの年数が経っていました。

母の寝ている部屋はリビングダイニングで、南に面した一番光の入る窓がベッドと隣接しています。
この窓のプレーンシェードが壊れたので、光が入らず、部屋の中は暗くなってしまいました。
介護する側は、暗いところでは母の様子が見えにくいなど支障をきたしかねないのですが、母にとっても、打撃でした。
それは、いつも眺めている窓からの風景が見られないからです。

母は寝たきりなので、外には全く行けません。
そのため、外界との唯一のつながりはこの窓からの風景です。
空が青い、雲が流れている、雨が降っている、飛行機が飛んでいる etc…季節を感じるような景色を窓を通して目にしていました。もちろん要介護5で話すことはできないので本当に見ているかはわかりませんが、顔はいつも窓に向いています。

このような理由から、母の生活の場であるリビングダイニングの環境を考えると放置はできず、この機会にリビングダイニングのカーテンを思い切って全面的に見直すことにしました。

修理という手段も検討しましたが、メカのポールが折れてしまったので、修復が不可能となってしまいました。20年前のメカの修理は、部品がなかったため交換した方が早くて割安だったので、交換を決断したのです。

実は既に、リビングダイニングの他の窓のプレーンシェードが壊れていたのですが、今回の様に光が入らないという不便さを感じていなかったので、そのままにしていました。
建築の仕事に従事していながら、大変お恥ずかしいのですが、実家のインテリアについては後回しになっていたのです。母には申し訳なかったと思います….

【南面出窓:プレーンシェードの故障】
【プレーンシェード:メカが折れて故障】

職人さんの現調:プロに測ってもらう安心感

交換にあたっては、最近仕事でご一緒した職人さんに依頼、現調(現場調査:採寸と取付条件の確認)に来ていただきました。

私自身、仕事では窓装飾を「指定する側」ですが、わが家では一人の依頼主。プロの現調は、カーテンボックスの納まりやメカの状態まで直接確認してもらえるので、やはり安心感が違います。
現調の結果、やはり出窓のプレーンシェードのメカは交換が必要でした。
よく開閉する出窓だけ、操作性のよいプレーンシェードとし、他の窓のメカは交換せず撤去し、カーテンに変更としました。
採寸については、私が採寸した寸法で概ねOKでしたが、出窓のレースのプレーンシェードは既存が使えるので、メカがこの先も使用可能かをみていただきました。
結果、既存利用が可能とのことでした。

現調時は訪問看護師さんのケアの時間と重なりましたが、1時間かからずにスムーズに採寸・確認ができましたので母や看護師さんにはあまり負担にはなりませんでした。

生地選定:二つの資格と「介護の目」で選ぶ

選定条件の整理:採光・遮光・動線・メンテナンス

生地選びの前に、建築士として条件を整理しました。わが家の場合はこの4つです。

1. 採光
2. 遮光・遮熱
3. 操作性
4. メンテナンス

順番に説明いたします。

1. 採光: 自然光をしっかり入れたい。
光は生活リズムを整える大切な要素で、日中を明るく過ごすことは生活環境を整える基本だと考えているからです。
→南向きという採光に有利な出窓の光を重点的に取り入れる

2. 遮光・遮熱: 一方で、夏の強い日差しは室温が上昇し、体力の消耗につながります。時間帯によって光量を調整できること、わが家の場合は、東側の窓の遮熱は必須でした。
→機能性が備わったレースのカーテンを選定する。

3. 操作性: ケアを妨げない操作性と納まり。窓辺の開け閉めが「楽にできる」ことは、毎日のことだからこそ効いてきます。
→出窓は上下に開閉するプレーンシェード。チェーンの操作で好みの高さに調整が可能。

4. メンテナンス: 療養空間なので、清潔を保ちやすいことも条件に。
→ウォッシャブル、形状記憶などお手入れを考慮した生地を選定する。

時間がない、予算も限られている中、どう決めたか

理想を言えば、ショールームを巡ってじっくり選びたいところ。
でも仕事と介護の両立をしているため、その時間がありませんし、予算にも上限があります。
結果、
視線が集まる窓母が一番目にする窓に優先に順位をつけて、メリハリをつけることで
予算の中で効果的なアイテムの選定を実現しました。

これはプロとしてお客様に提案してきたことを、実家で実践した形です。
生地の選定は、これまで依頼した手もちのサンプル生地の中から、Webカタログでも検討し、リビングダイニングのインテリアエレメントに合う生地を選定しました。
運よく、ドレープは適宜なものがあったのでそちらをチョイス。
レースについては、機能とコストを抑えた生地をWebカタログから選定しサンプルを依頼しました。
ポイントは、遮熱、ウォッシャブル、ミラーレスの機能をもったレースの選定です。
加えてのっぺりした安っぽく見えないように注意しました。

選んだ生地:フジエテキスタイルとリリカラ

選んだメーカーは…
ドレープはフジエテキスタイル、レースはリリカラの生地です。

プレーンシェードとドレープカーテン生地

FUJIE TEXTILE / フジエテキスタイルは、京都西陣で織物製造業として1885年に創業した、歴史あるテキスタイルメーカー。カーテンのみならず、クッション、椅子張り、ベッドカバーなど、上質で洗練された生地を幅広い商品に展開しています。
デザインの根幹にあるのは「シンプル&モダン」というコンセプト。古来、日本の風土や伝統、文化の中に脈々と受け継がれてきた普遍的な美意識「シンプル」に、「モダン」すなわち「今」のエッセンスを加味することで、常に新しいものを生み出そうとしています。

引用:FUJIE TEXTILE / フジエテキスタイル https://www.fujie-textile.co.jp/about_us.html

以前、お客様をショールームにご案内したことがありますが、大きなサンプル生地でコーディネートの検討が可能なクリーンなスペースです。
国内のメーカーとしては、質感と生地にセンスが光る商品が多く展示されていました。

今回は「STORY」や「PROFILE」の主力のサンプルブックも検討しました。
メインの出窓は、「PROFILE」から PF6247 ハナゴオリ 色番PBを選定しました。

PF6247 ハナゴオリ 生地の紹介
はかなげで、繊細なイメージが美しい、風通織りのドレーパリーです。
光沢のある細いラインで織り出されたモチーフは、幾重にも重なる花びらのような、葉っぱのような、装飾的なアレンジとなっています。オーガンジーが重なった、風通織りの部分は、地色の変化がある、無地調の柄になっていて、モアレと相まって奥行きを感じさせます。

引用:FUJIE TEXTILE / フジエテキスタイル https://www.fujie-textile.co.jp/about_us.html

【出窓プレーンシェード】PF6247PB ハナゴオリ
【柄リピート】35cm×29.7cm


「PROFILE」のPF2220 カシコ 色番はBE ベージュを出窓以外の窓に選定しました。

リビングダイニングの特に床の色を考慮して、ニュアンスのあるベージュピンクを選定しました。
単純なのですが、母がピンクが好きなのでそれも選定の理由です。
好きな色で空間を満たしていくことが、療養空間として母が心地よく過ごせると考えました。

繊細な陰影と光沢感が特徴の無地です。
自然や時の流れを感じさせるような繊細なニュアンスのデザインは様々なテイストに対応できます。ひだをよせたカーテンスタイルがきれいです。フジエの特徴の一つとして多色のマルチ無地が挙げられますが、既存のマルチ無地に比較しもう少しドレープ調の表情があります。

引用:FUJIE TEXTILE / フジエテキスタイル https://www.fujie-textile.co.jp/about_us.html

【南・東面窓ドレープ】PF2220BE カシコ
【PF2220CL カシコ コーラル色 施工イメージ】
※今回はBE ピンクベージュ色を採用

レースカーテン

リリカラは、機能性とデザインのバランスが良く、幅広い価格帯から選べる国内インテリアメーカーです。
カーテンカタログ「SARA」より:
「Ready for your New Life」をコンセプトに、それぞれ異なる「こだわり」を持った人たちの「新しいくらし」をより楽しく、より素敵に過ごすことができるようなアイテムをご提案します。防炎のデザインレースや各種機能商品も充実した、バラエティー豊かなラインナップです。

リリカラHP:https://www.lilycolor.co.jp/interior/catalog/curtain.html

【南・東面窓レース】LS-63490
【LS-63490 施工イメージ写真

出窓のレースは既存のプレーンシェードを再利用するので、そのデザインを意識しつつ、
ウォッシャブル・遮熱・防汚・UVカット・ミラーレス…. 
盛りだくさんの機能が備わったリーズナブルなレース、SALA LS-63490 を選定しました。
色はホワイト。経験上、ホワイトのレースは空間に清潔さと光の美しい反射を与えるとわかっていたので、母の療養空間にピッタリでした。

※追記:今回選定した生地は全て防炎加工されています。
(高さ31m以上の高層建築物(マンション)には、消防法により設置が義務付けられています。)

施工当日:3つの窓が生まれ変わるまで

現調後、生地を選定しすぐ発注。カシコの生地が形状記憶だったため、少し時間が必要で、製作に10日かかりました。

そして、いよいよ施工日当日。
朝からひとりの職人さんが入りました。
ヘルパーさんが介護に入る時間と一部重なりましたが、さすがプロフェッショナル!
1時間弱で問題なく施工。母の寝ているベッドはそのままで、ヘルパーさんの作業も必要な備品はワゴンで移動できるので、支障はありませんでした。

母も職人さんの作業に興味津々(?)
いつもは眠たそうな表情をするのですが、目を開けて、何かを感じているようでした。

【施工当日:出窓のプレーンシェードの施工中と介護の様子

プロの視点:介護の部屋のカーテンで大事な3つのこと

最後に、建築士・インテリアコーディネーターとして、介護の部屋のウィンドウトリートメント(カーテン)選びで大事にしたいことを3つにまとめます。

1. 「遮光か採光か」ではなく「調光」という視点を持つ。
2. 操作性は介護動作の一部と考える。
3. 機能と「心地よさ」を天秤にかけない。

1. 「遮光か採光か」ではなく「調光」という視点を持つ。
→1日中同じ光量でいい部屋はありません。時間帯や体調で光を調整できる組み合わせ(例:ドレープ+レース)を基本に考えます。

2. 操作性は介護動作の一部と考える。
→ 毎日開け閉めするのは介護者です。軽く操作できるか、車椅子やベッドの位置と干渉しないかを、購入前に必ず確認を。

3. 機能と「心地よさ」を天秤にかけない。
→介護する空間こそ、色や質感の心地よさが大切。機能一辺倒にせず、その部屋で長い時間を過ごす人の目に映る風景として選んでほしいと思います。

交換後のLDの様子:光が変わると、暮らしが変わる

そして、交換後のリビングダイニングがこちらです。
それぞれの窓でドレープの開閉時も撮影してみました。
出窓は特に開閉する機会が多いので、操作がしやすいプレーンシェードにしました。
また、柄が入った生地を採用することで、1枚の絵:ピクチャーウィンドウとして表現してみました。
いかがでしょうか。

【after:南面出窓①】
ドレープのプレーンシェードのみ交換
【after:南面出窓②】
ドレープのプレーンシェードのみ交換
【after:南面窓①】
ドレープカーテンを開けたところ
【after:南面窓
ドレープカーテンを閉めたところ
プレーンシェードを撤去しカーテンに交換
【after:東面窓①】
ドレープカーテンを開けたところ
【after:東面窓②】
ドレープカーテンを閉めたところ

こちらがリビングダイニングの全体です。
撮影時は天気がくもりでしたが、照明を点灯しなくても明るい空間になりました。
白いレースの反射が美しく、楽しく心地よい気分で介護ができそうです。
母もゆったりと過ごしていて、いい感じです。

【after:リビングダイニング全体

母への効果と、私の心の変化

交換後、部屋の様子が変わっただけでなく、母と私の心境も変化しました。
4つの視点で説明します。

☑①部屋の印象・光の入り方の変化
☑②母の様子の変化
☑③自分自身の心理的な変化
☑④看護師さん・ヘルパーさんの反応


①部屋の印象・光の入り方の変化

出窓からの光は既存のプレーンシェードを再利用したので、大きな変化はありませんが、故障していた間は出窓からの光が入らない状態でした。
他の2つの窓からは光がはいりましたが、その様子はまるで「あなぐら」のよう。
南面出窓の光量が、いかに多かったことがわかります。
出窓以外の窓は、遮熱やミラーレスなどの機能性のあるレースを採用したことで、外気の影響をカーテンでも抑制できるようになりました。

②母の様子の変化

もう言葉は話せないのですが、母の表情は明るく、窓廻りのしつらえが変化したことを感じたようです。
職人さんが施工に入った日の午後、普段は目を閉じて寝ていることも多いのですが、ずっと目を開けたまま出窓の方を見ていました。心なしか、笑顔も浮かんでいるように見えました。
私自身は、窓廻りが一新してホッとしたのですが、なにより母の表情がうれしかったです。
これからの生活も楽しみになりました。

③自分自身の心理的な変化

長年カーテン廻りの問題点が解決したことで心理的な変化がありました。
朝起きて、カーテンやプレーンシェードを開ける時、わくわくして生地を眺めたり、夜閉める時はドレープの美しさを再確認したりと、1日の始まりと終わりが楽しく感じられました。
毎日の介護に対するモチベーションアップにもなりました。

④看護師さん・ヘルパーさんの反応

開口一番、「カーテン、変わりましたね!」 
嬉しいことに、皆さん、気づいてくださいました。
窓廻りが整うと介護する側のモチベーションも上がったことが、皆さんの話している様子から伺えました。

窓廻りのしつらえが変わると部屋のフレーム、そして見える風景が変わって見えました。
特にドレープは、光沢感のある生地なので、閉めたとき奥行感があり、照明に照らされると生地の美しさが引き立ちます。

介護のための住環境整備というと、まず手すりや段差解消が真っ先に浮かびます。
ですが、もっと手軽にできることとして「ウィンドウトリートメント」を見直してみると、毎日目に入る「窓廻りの光」が療養する人と介護する人の両方の気持ちに、静かに効いてくる…
実家のウィンドウトリートメントの交換で、それを実感できました。


光といえば、照明の工夫も住空間に大切なもの。こちらの記事で紹介しています。

まとめ:窓まわりは「療養環境の質」そのもの

壊れたシェードの交換から始まった今回のリビングダイニングのウィンドウトリートメント全面交換。
終わってみれば、部屋の光と空気が変わり、母と私の毎日まで、変わりました。

窓廻りの見直しは、介護のための住環境整備として、もっと注目されていいのではないかと感じています。
「プレーンシェードが壊れたから交換」という動機でしたが、思い切って一新したことで、空間が生まれ変わったように生き生きしています。
母への影響の大きさは言うまでもなく、介護する側への影響も大きかったことが収穫の一つです。

介護する人の感情は介護される側にダイレクトに伝わるもの。
人と人とがつながる空間だからこそ、そのエレメントの整備は住環境の質の向上をもたらしました。
実際に自分で体感した一例として、介護する皆様に共有していただければ幸いです。

※商品・価格に関する情報は執筆時点のものです。
詳細は各メーカー公式サイト(フジエテキスタイル/リリカラ)でご確認ください。


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